放送内容

#58

スカジャン刺繍職人 山上大輔

背中に大きく描かれた、鷲や虎、竜。迫力ある刺繍を施したジャンパーは、
発祥とされる「横須賀」から2文字を取って「スカジャン」と呼ばれている。
その表情豊かな刺繍は、日本独自の「横振り刺繍」という伝統技法で行われることが一般的。針が左右に動く横振りミシンを使い、職人が直接生地に文字やデザインを起こしていくというやり方だ。しかし、近年の工業化や職人の高齢化などで、スカジャン刺繍は衰退の一途を辿っている。そんな中、文化を継承すべく立ち上がった男がいる。スカジャン刺繍職人、現代刺繍家・山上大輔(33)。
元々デジタルデザイン系の勉強をしていた山上は、スカジャン職人のレジェンド・松坂良一氏(92)のデザインに一目ぼれし、スカジャンに傾倒。織物産業の盛んな群馬県桐生市で、横振り刺繍の技術を学んだ。
そして山上は昨年、スカジャンショップが軒を連ねてきた横須賀・ドブ板通りに店を構えた。こだわるのは当然、横振りミシンで縫う一点もの。コンピュータミシンを用いた大量生産品が主流となり、オーダーメイドスカジャンの存続が危ぶまれている今、山上の客の要望やイメージを細かく反映する技術は瞬く間に評判を呼び、彼のスカジャンを求めて全国から注文が舞い込んでいるという。
自由自在に繊細な図柄を縫い上げる、山上の卓越した技術にカメラが迫った。