放送内容

#23

能楽師 辰巳満次郎

およそ600年前、室町時代に観阿弥・世阿弥が大成した演劇『能』。現存する世界最古の舞台芸術であり、2008年にはユネスコ無形文化遺産にも登録された。
そんな伝統芸能を現代に伝える、能楽師 辰巳満次郎 62歳。能の流派の一つである「宝生流」の一翼を担う実力派能楽師の一人だ。
 
能楽師の父のもとに生まれ幼少期から父に師事した辰巳は、4歳にして初舞台を経験。その後東京藝術大学を卒業すると、宝生流の宗家である宝生英雄の内弟子になった。1986年には独立して数々の公演を行い、2001年には重要無形文化財総合指定の認定を受けた。
 
現在は年間70公演もの舞台をこなすほか、弟子の育成や能の普及活動などで全国各地を飛び回るなど多忙な日々を送っている辰巳。さらにはこれまでニューヨークやロンドンなどで行われる海外公演にも参加してきたほか、新作能の演出・主演、プロジェクションマッピングとの共演やフリージャズとのセッションなど、伝統芸能の枠にとどまらない能の新たな形を発信し続けている。
 
辰巳のことをよく知る狂言師・野村萬斎は彼についてこう評する。「あんなに能に情熱を傾けている人間はいない」と。
能の可能性を広げ続ける男、辰巳満次郎の挑戦に密着した。