放送内容

#7

将棋AIソフト開発者 杉村達也

5月3日、川崎市である大会が行われた。男達が見つめるパソコンの画面には、将棋の盤面が映し出されている。駒を打っているのは人間ではなく、コンピューター。
行われていたのはコンピューター将棋の世界大会『世界コンピューター将棋選手権』。人工知能を搭載した将棋ソフト同士が対戦して世界一を決める大会だ。
 
大会の参加者のうちの一人、杉村達也 35歳。藤井聡太竜王が研究に使用しているという、将棋AI『水匠』の開発者だ。実は杉村は弁護士として仕事をしながら将棋AI開発に力を注ぎ、2020年に行われた『世界コンピューター将棋オンライン大会』では優勝を果たした。
 
幼少期に祖父から将棋を教わった杉村は、アマチュア二段を取得するほど熱中した。一方、中学生になるとプログラミングにのめりこみ、高校、大学と、“将棋“と“プログラミング”の生活に明け暮れたという。しかし、それらはあくまで趣味。大学院卒業後には司法試験に合格し、今では年間100件もの相談を受けるほどの弁護士になった。
ところが、2017年に起こった衝撃的な事件を目の当たりにして杉村の人生は大きく変わる。それは、AIロボット・ポナンザが佐藤天彦名人(当時)を下した将棋電王戦。AIがプロ棋士に勝利するという歴史的な日を境に、杉村は将棋AIソフト開発に情熱を傾けることとなる。
 
そんな杉村が挑む『世界コンピューター将棋選手権』。54のチームが最強の将棋AIソフトを目指してしのぎを削る。
果たして、『水匠』は世界の頂点に立つことはできるのか?