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#65

願成寺(白水阿弥陀堂)(福島県)・毛越寺(岩手県)・長谷寺(奈良県)

「願成寺(白水阿弥陀堂)」(福島県)

 

白水阿弥陀堂として知られる願成寺(福島県)は、いわき市西部の山あいに築かれた「蓮沼の御堂」。浄土庭園の池泉を東西に従えて、まっすぐ伸びた参道の先に蓮池に浮かぶように立っています。奥州藤原氏、初代清衡の娘とも伝わる徳姫が亡き夫の極楽往生を願って建立。深い軒と屋根の調和が中尊寺金色堂を思わせる国宝の阿弥陀堂には内陣と外陣に仕切りがなく、阿弥陀三尊に直接参拝します。五木さんは満開の蓮と御堂の光景に思索を深めます。

  


 

「毛越寺」(岩手県)

 

世界遺産、平泉。毛越寺(岩手県)はその構成資産の一つです。慈覚大師円仁を開祖とし、奥州藤原氏が築いた大伽藍は、その藤原氏を滅ぼした源頼朝をも感嘆させた壮麗さであったと言います。しかし、四十を超える伽藍や五百余りの僧坊の大半を焼失。今、往時の栄華を伝えるのは池の畔の遺構のみです。江戸時代に再建された常行堂の本尊・摩多羅神に捧げる「延年の舞」。八百年にわたり連綿と続く古式ゆかしいこの舞に五木さんは向き合います。

  


 

「長谷寺」(奈良県)

 

初瀬山の中腹に伽藍を広げる長谷寺(奈良県)は、「源氏物語」や「枕草子」にも描かれた寺。西国三十三所巡礼第八番札所で、春には6000本余りの桜が浄土を思わせる「花の寺」です。高さ10メートル余りの本尊・十一面観音立像は右手に錫杖を携え、観音と地蔵、両方の徳を持って現世利益を叶えてくれると、信仰を集めました。全国300余の長谷寺の総本山として若き学僧が修行する学山でもあり、早朝から彼らの読経がこだましています。