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#64

勝常寺(福島県)・清水寺(島根県)・室生寺(奈良県)

「勝常寺」(福島県)

 

勝常寺(福島県)は、山々に囲まれた会津盆地の中央にひっそりと立ちます。創建は最澄と激しい宗教論争を繰り広げた徳一。空海がその清廉な人柄を讃えた名僧です。かつては七堂伽藍を成して隆盛を極めた大寺院ですが、今では薬師堂を中心とする小寺。しかし、戦禍を免れた国宝の薬師三尊像や平安仏十二体の存在から、「東北の奇跡」と称されています。顔に太刀傷を受けた徳一上人坐像を前にした五木さんは、まるで菩薩のようだと語りました。

  


 

「清水寺」(島根県)

 

清水寺(島根県)は、日本海につながる中海を北に望む古刹です。深い緑に包まれた境内には、現世利益を願って寄進された赤や紺の幟がはためきます。寺の名の由来となった聖水が今も湧き続ける根本堂で、五木さんは特別に許されて、秘仏である本尊、十一面観世音菩薩立像に拝します。江戸後期に33年を費やして信徒たちの寄進だけで築かれた、山陰唯一の三重塔は高さ33.3m。五木さんは三階に昇り、山並みが続く島根半島の絶景を見渡しました。

  


 

「室生寺」(奈良県)

 

室生寺(奈良県)が女人高野と呼ばれるのは、女人禁制の高野山に対して、古くから多くの女性を受け入れてきたため。杉木立に囲まれて立つ五重塔は日本一の小ささで、力強く優美なその姿は寺の象徴ともいえます。国宝の金堂には誉れ高い十一面観音立像など、見事な仏像群がずらりと並び、弥勒堂には存在感のある国宝・釈迦如来坐像が安置されています。五木さんは七百段の石段を登って奥の院を詣で、弘法大師を祀る御影堂に手を合わせました。