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#55

「東大寺」(奈良県)「円覚寺」(神奈川県)

「東大寺」(奈良県)

若草山の麓にある東大寺(奈良県)は、聖武天皇が亡き皇子を弔うために建立した山寺が起源。今は修学旅行生らで賑わう南大門の先には、かつては二つの七重塔がそびえ立ち、国家創成期の熱いエネルギーが渦巻いていました。世界最大級の木造建築である大仏殿には、国家事業として創建された廬舎那仏坐像「奈良の大仏さん」が鎮座しています。絶対秘仏「十一面観音菩薩像」を祀る二月堂への石畳は、喧騒とは無縁の静謐な空間へと五木さんを誘います。

 

「円覚寺」(神奈川県)

執権・北条時宗が創建した円覚寺(神奈川県)は、鎌倉五山の一つに数えられる名刹。豪壮な三門をくぐり、仏殿に対峙した五木さんは「日本らしい日本に出会えた」という思いを抱きます。中国僧・無学祖元を開山とするこの寺が「日本」を感じさせる不思議。鎌倉武士の精神的支柱であった禅の教えは、近代に入ると、名だたる文人たちの心をも捉えます。中でも夏目漱石は、円覚寺の塔頭・帰源院での座禅修行を通して名作「門」を生み出しました。