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#51

「瑞泉寺」(富山県) 「高徳院」(神奈川県)

「瑞泉寺」(富山県)

瑞泉寺(富山県)は、北陸の真宗の拠点。後小松天皇から自分の名で浄財を集めることを許された博学の僧・綽如上人が開基です。九十年後には寺は一向一揆の牙城となりました。以後百年の間、砺波平野を支配しますが、石山本願寺陥落によって前田家の支配下となります。太子堂には聖徳太子に縁の品々が納められ、四百五十畳もの広さの本堂の欄干や柱には、門徒による精緻な木彫が刻まれています。木彫は代々受け継がれ、門前町には今も槌の音が響きます。

 

 

「高徳院」(神奈川県)

露座の巨仏として親しまれる「鎌倉の大仏さま」。この大仏を本尊とするのが高徳院(神奈川県)です。大仏を覆った大仏殿は五百年以上前に津波で流され、以来、野ざらしのその姿に人々は思いを寄せてきました。与謝野晶子は「美男におはす」釈迦牟尼と詠みましたが、実は阿弥陀如来。鎌倉武士が極楽往生を説く浄土信仰をも求めた証かもしれません。造立当時は金箔が施されていたという大仏の起源には謎が多く、調査による解明が待たれます。