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#45
「恐山菩提寺」(青森) 「三千院」(京都) 「秋篠寺」(奈良)
「恐山菩提寺」(青森県)
本州最北端の下北半島。イタコの口寄せで知られる恐山菩提寺(青森県)は、比叡山、高野山と並ぶ日本三大霊場の一つ。「死ねば恐山(おやま)へ行く」と信じる人々が、祈りを捧げてきた聖地です。三途の川(正津川)に架かる太鼓橋を渡って入山。硫黄の臭いが立ち込める荒涼とした地獄谷を巡り、賽の河原で石の塔を積んで、地蔵菩薩に死者の霊の成仏を念じます。その先の白い砂浜、日の光に輝く宇曽利山湖の美しさに、参詣者は浄土を重ね見るのです。
「三千院」(京都)
京都市街から北東へ十数キロ、比叡山の西北麓に開けた小さな盆地・大原。かつて俗世を嫌った念仏行者たちが移り住み、ひたすら念仏に励んだこの隠れ里に、三千院(京都)は静かに佇んでいます。境内最古の堂宇である往生極楽院には、国宝・阿弥陀三尊像が安置され、手を伸ばせば触れる程の近さで拝することができます。経文や真言に節をつけて唱える仏教音楽、声明の里でもある大原。往生極楽院で唱えられる声明に、五木さんも聞き入りました。
「秋篠寺」(奈良県)
住宅街の一角にひっそりとある秋篠寺(奈良県)。門をくぐれば、苔庭の鮮やかな緑に目を奪われます。国宝の本堂の壇上には、本尊の薬師如来坐像を中心に様々な仏像が祀られ、その端に佇むのが技芸に秀でるとされる天女、伎芸天立像。日本に現存する唯一の像として、堀辰雄、川田順ら、多くの文人に愛されてきました。五木さんも対面し、「後ろめたさを抱えて創作に携わる人々の背中を優しく押してくれている」と、その姿に感じ入ります。