バックナンバー

#33

「明通寺」(福井) 「二尊院」(京都)

「明通寺」(福井県)

港町にありながら、深い木立に囲まれた明通寺(福井県)。蝦夷地平定の命を受けた征夷大将軍坂上田村麻呂によって創建されました。独特のさびた色合いで佇む本堂、三重塔は国宝。三重塔内部には鮮やかな彩色が施され、釈迦三尊像と阿弥陀三尊像が背中合わせに安置されています。本堂に掲示された「殺すな、殺させるな、殺すことを見逃すな」の言葉に、五木さんは先住民族を攻め滅ぼした田村麻呂の苦悩と、世界各地のテロや戦争について考えます。

 

「二尊院」(京都府)

嵯峨野・小倉山の麓にたたずむ二尊院(京都府)は、慈覚大師円仁の開山。豪壮な総門の先には「紅葉の馬場」と呼ばれる石畳の参道が続き、真っ赤な楓があたりを染める秋の風情は格別です。寺名の由来である二体の本尊、阿弥陀と釈迦の像は本堂に祀られ、人々を極楽浄土へと導きます。名高い「小倉百人一首」は藤原定家が小倉山の山荘で編んだもので、「小倉山峰のもみぢ葉こころあらば 今ひとたびのみゆき待たなむ」が26番の歌です。