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#31

「那谷寺(なたでら)」(石川) 「浄土寺」(広島)

「那谷寺(なたでら)」(石川県)

那谷寺(石川県)は、霊峰・白山を山岳修行の場とした泰澄によって開かれました。その本尊の一つが奇岩遊仙境。太古の海底隆起と波による浸食で生まれた奇岩です。岩肌に彫られた石段の先に洞穴があり、かつてはその中で山岳修行者が厳しい修行を積みました。本堂は岩壁に寄りかかるような拝殿と奥の岩窟内に設けられた本殿から成ります。本殿を囲む岩窟の通路は「胎内くぐりの聖地」と崇められ、罪を洗い流して生まれ変わる場所とされています。

 

「浄土寺」(広島県)

浄土寺(広島県)は、尾道の風情ある町並みと瀬戸内海を見下ろす、「海の見える寺」。聖徳太子の創建と伝えられ、三体の聖徳太子像が宝物館に安置されています。古くから港町として繁栄した尾道には海運業や商業を営む豪商が集い、航海安全や家運繁栄を祈ってこの寺を庇護してきました。秘仏・十一面観音菩薩立像を安置する本堂や、大日・薬師・釈迦三尊像が祀られた多宝塔の建築にも、彼らの信仰や思いが表れています。