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#30

「大乘寺」(石川) 「本法寺」(京都)

「長谷寺」(奈良県)

初瀬山の中腹に伽藍を広げる長谷寺(奈良県)は、「源氏物語」や「枕草子」にも描かれた寺。西国三十三所巡礼第八番札所で、春には6000本余りの桜が浄土を思わせる「花の寺」です。高さ10メートル余りの本尊・十一面観音立像は右手に錫杖を携え、観音と地蔵、両方の徳を持って現世利益を叶えてくれると、信仰を集めました。全国300余の長谷寺の総本山として若き学僧が修行する学山でもあり、早朝から彼らの読経がこだましています。

「本法寺」(京都府)

京の閑静な街角に立つ本法寺(京都府)は、日親の創建。日親は熱烈な日蓮宗徒で、「現世に浄土を実現する」という宗祖の教えを貫きますが、時の将軍にまで改宗を迫って室町幕府に投獄、弾圧されます。しかし、「町衆」と言われる商人や手工業者が篤く帰依し、寺を支えました。本阿弥光悦や長谷川等伯などの芸術家も信者であり、寺は創作活動の拠点ともなります。特別に、開山堂の日親上人像と対面した五木さんは何を思うのでしょうか。