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#29
「長谷寺」(奈良) 「浄瑠璃寺」(京都)
「長谷寺」(奈良県)
初瀬山の中腹に伽藍を広げる長谷寺(奈良県)は、「源氏物語」や「枕草子」にも描かれた寺。西国三十三所巡礼第八番札所で、春には6000本余りの桜が浄土を思わせる「花の寺」です。高さ10メートル余りの本尊・十一面観音立像は右手に錫杖を携え、観音と地蔵、両方の徳を持って現世利益を叶えてくれると、信仰を集めました。全国300余の長谷寺の総本山として若き学僧が修行する学山でもあり、早朝から彼らの読経がこだましています。
「浄瑠璃寺」(京都府)
宝池をはさみ、薬師如来坐像を祀る東の三重塔と九体の阿弥陀如来坐像が並ぶ西の堂宇が向き合う浄瑠璃寺(京都府)の伽藍配置は、“此岸”である現世に送り出され、やがて生を終えて“彼岸”の極楽浄土に迎えられる命の流れを表しています。京都と奈良の県境に広がる当尾台地のうっそうとした木立に包まれる小さな寺。参道の馬酔木(あしび)をはじめ、季節の花々が境内を染める、花の寺としても参拝者を誘います。