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#21

「富貴寺」(大分) 「高徳院」(神奈川)

「富貴寺」(大分県)

富貴寺富貴寺(大分県)は、国東半島に広がる寺院群の一つ。古来、自然崇拝が広がっていたこの半島に仏教が渡来し、神と仏が共存する神仏習合の地となりました。六郷満山と呼ばれた仏の里は中世に最盛期を迎えます。富貴寺は往時の面影を色濃く残し、その大堂は阿弥陀堂建築の傑作として国宝に指定されています。大堂の西側には白山神社。富貴寺の住職が代々経文を唱えてきたという社の前で、五木さんは日本人に宿る根源的な信仰の姿を実感します。

「高徳院」(神奈川県)

露座の巨仏として親しまれる「鎌倉の大仏さま」。この大仏を本尊とするのが高徳院(神奈川県)です。大仏を覆った大仏殿は五百年以上前に津波で流され、以来、野ざらしのその姿に人々は思いを寄せてきました。与謝野晶子は「美男におはす」釈迦牟尼と詠みましたが、実は阿弥陀如来。鎌倉武士が極楽往生を説く浄土信仰をも求めた証かもしれません。造立当時は金箔が施されていたという大仏の起源には謎が多く、調査による解明が待たれます。