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#324

大倉忠司(株式会社鳥貴族 代表取締役社長)

ゲスト×インタビュアー
大倉忠司(株式会社鳥貴族 代表取締役社長)×浜田敬子(ビジネスインサイダー日本版統括編集長)

国産鶏肉を使用した焼き鳥をはじめ、食べ物も飲み物も全て280円(税別)、でおなじみの全国に500店以上展開する居酒屋チェーン「鳥貴族」の創業者だ。
1960年大阪で生まれた大倉が、飲食業と出会ったのは、高校時代のビアガーデンでのアルバイト。そこで飲食業の素晴らしさに感動し、この道で生きていくと決めた大倉は、大手ホテル、居酒屋勤務を経て、1985年、25歳の時、両親の家を担保に借金をし、地元・東大阪市の商店街にわずか9坪、27席の鳥貴族1号店をオープンさせた。しかし、念願だった開店にも関わらず、売上不振が続き、倒産の危機に…。「このままだと両親の家は銀行に取られ、家族も路頭に迷う…」ご飯も喉を通らないほど追い詰められた大倉を窮地から救ったのが、鳥貴族の代名詞280円均一(当時は250円)という安売りだった。この“安売り”が功を奏し、倒産の危機を脱した大倉は、鳥貴族のオープンから18年目の2003年、大阪の繁華街・道頓堀に念願の出店し大成功を収める。これをきっかけに、関東、東海と三商圏に出店を続け、今や500店舗を超える一大チェーンに成長、昨年東証一部にも上場し、名実ともに一流企業の仲間入りを果たす。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までには、1000店舗の出店を目指している。
オープン当時は、小さな居酒屋の若き店主でしかなかったにも関わらず、既に創業時からアルバイトたちにいずれ「鳥貴族を大チェーンにする」「東証一部に上場する」と宣言し、事あるごとに、鳥貴族の使命と目的を語り続けていたという大倉。実は鳥貴族にいる取締役4人は全員元アルバイト出身。大倉が語ったその理念に共感して入社、苦楽を共にしてきた者たちだ。また居酒屋に限らず、コンビニ・ラーメン店など多くのチェーン店は、外部からオーナーを募集してフランチャイズを展開するが、鳥貴族の場合、加盟するのはわずか14社のオーナーのみ、その全員が元アルバイトなど創業時から一緒にやってきた仲間だという。利益や経営だけを考えれば、外部オーナーを増やし、店舗を増やす方法もあっただろうが、それをしなかったのは大倉が“利益”だけで会社を経営してきた訳ではなく、ある使命と目的を実現させるためにやってきたからだ。それは、鳥貴族が営業中に掲げる看板に書かれている「うぬぼれ中」という言葉が指し示している。果たしてその言葉の意味とは?
また、長引く不況や若者のアルコール離れなどを理由に多くの居酒屋チェーンが売り上げを落とす中、なぜ鳥貴族は急成長をしているのか? 鳥貴族が多くの消費者に支持される理由、それは単なる安売りではなく、低価格ながら高品質の商品を提供することに尽きる。“安売り”であるにも関わらず、メインの焼き鳥はもちろん、フードメニューで使用する食材は全て国産を使用。ビール、ウイスキー、焼酎など、原価率の高いアルコールも例外なく280円均一。そして焼き鳥の串打ちは各店舗で行うなど、非効率とも言える “こだわり”を守り続けている。従来の居酒屋チェーンとは一線を画し、とても280円均一で採算がとれるとは思えない経営手法で、なぜ成功を収めることができたのか? なぜ、低価格で高品質の商品を提供できるのか? 280円均一に込められた哲学とは?
さらに、今後の展望についても。その使命と目的を次の世代に受け継がせるため、鳥貴族が取り組む試みとは? 夢を語り続け、小さな焼き鳥店を東証一部まで導いたカリスマ経営者の人生と経営哲学が赤裸々に語られる!