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#323

やましたひでこ(断捨離提唱者)

ゲスト×インタビュアー
やましたひでこ(断捨離提唱者)×小島慶子(タレント、エッセイスト)

“断捨離”の提唱者、やましたひでこ。女性を中心に熱い支持を受けている片づけ術“断捨離”は、単に不要なものを処分し、執着心をなくすだけではない。日常を整えることで人生にも大きな変化が現れる“人生の片づけ”ともいえる。この“断捨離”の提唱者が、やましただ。そのすべは、彼女が主婦として、そして一人の人間として、日常の生活の中で実践し、磨き上げたものだ。
1954年、東京生まれ。意外にも母親は片付けが苦手で、実家はいつも散らかっており、友人を呼ぶのも恥ずかしかったという。
早稲田大学の4年生の時、何気なく初めたヨガで、後に“断捨離”のベースとなる行法哲学「断行・捨行・離行」と出会う。しかし、まだこの時は「手に負えない感じ」があり無意識のうちに心に封印したという。
大学を卒業すると間もなく、自営業の男性と結婚。石川県で新婚生活をスタートさせる。夫の仕事の事務をしながらヨガ講師として活動し、息子にも恵まれた。しかし、夫の両親との同居生活の中で“価値観”の違いに悩み、ストレスを抱え込む日々…。36歳の時、ついに体が悲鳴を上げる。白血球が減少する病気になり、髪の毛は抜け、体は痩せ細ったという。義理の両親との同居は解消したが、それでも40代の時には介護や更年期による体調不良がやましたを襲った。「私の人生このまま終わるの?」と出口の見えないトンネルにいるような不全感を抱える日々…。心の支えは、30歳を過ぎたころからコツコツとひとりで実践を重ねていた“断捨離”に磨きをかけることだった。
2001年から、全国各地で“断捨離セミナー”を展開。その新しい視点と思考法のメソッドは性別や年齢、職業を問わず、幅広い層から圧倒的な支持を得た。
2009年12月には著書『新・片づけ術「断捨離」』を刊行。人気に火が付き、今では関連書籍が累計300万部を超えるミリオンセラーとなり、アジアやヨーロッパ圏でも続々と刊行が続いている。
「空間を見据え、ものとの関係を問い直し、過剰を排していく。その行動を通して、思考の混乱や心の混沌(こんとん)までも整理し人生をより快適にする」、つまり、住空間にひしめくガラクタを見極め見切ることで、頭と心のガラクタの整理もできるのが“断捨離”なのだ。
やましたの教えのもと、“ダンシャリアン”と自認する断捨離実践者の多くは、自らの人生を見つめ直し、家族間の問題や対人関係の齟齬(そご)を解消し最適化に繋げてきた。そんな“断捨離”に、やましたが寄せる思いとは? そして、“断捨離”の先にある未来にやましたは何を見据えているのか?
インタビュアーはタレント、エッセイストの小島慶子。4年前に雑誌で対談して以来の再会となった今回のインタビュー。自身のプライベートでの悩みも交え、やました流“断捨離”に隠された人気の秘密をひもといていく。