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#124

作曲家・三木たかし/弦哲也/浜圭介

心に染み入るメロディーで多くの人々を魅了してきた作曲家・三木たかし、浜圭介、弦哲也。三木は「津軽海峡・冬景色」「時の流れに身をまかせ」「夜桜お七」「みずいろの手紙」など、弦は「天城越え」「鳥取砂丘」「ふたり酒」「小樽運河」など、浜は「終着駅」「舟唄」「雨の慕情」「悲しみ本線日本海」などを作曲。昭和歌謡を代表するこの3人に共通することは、歌手としての夢がかなわず、人生のどん底を経験したこと。しかし幾多の試練に打ち勝ち作曲家へと転身し、そこで今なお多くの人々の心に残る名曲を紡いだこと。今回はこの3人の作曲家の人生をたどり、名曲誕生の秘密に迫る。
 
●極貧少年の飛行(三木たかし)
戦時中に生を受けた三木は、貧しい生活を強いられ、音楽をよりどころにつらい日々を乗り越えていく。歌手に憧れ、妹・黛ジュンと共に船村徹の門下生に。だが船村は三木を作曲家へ転向させる。夢半ばに希望がついえたが、メロディーメーカーの才能を発揮していく。
 
●生涯作曲家の晩年(三木たかし)
妹・黛ジュンに提供した「夕月」が大ヒット。「津軽海峡・冬景色」「つぐない」をはじめ、日本のスタンダードとなる曲を生み、歌謡曲をけん引する存在に。病魔に襲われ、声帯を切除するも作曲を諦めず、音楽家としての情熱を最後まで燃やし続けた。
 
●デビューと廃業(浜圭介)
歌に目覚めて十代半ばで上京。歌手デビューを果たすも全く売れず、都落ちした浜は、歌手を諦め青森で屋台の仕事を手伝う。だがそこで再び奮い立ち、上京し歌手としてデビューするもなかなか成功につながらなかった。しかし、恩師・漣健児とのアメリカ旅行で作曲家しての道が…。
 
●昭和歌謡の旗手(浜圭介)
「終着駅」「そして、神戸」「舟唄」「雨の慕情」「哀しみ本線日本海」などを手掛けて大ヒットを生むことに。
 
●ギター少年の旅の始まり(弦哲也)
古賀政男や田端義夫に影響を受け、ギターに夢中だった少年時代の弦。歌手を夢見て千葉から上京。念願の歌手デビューを果たすも長い下積みから抜け出せないつらい日々。ギタリストとして北島三郎のツアーに参加した折、作曲家への道を勧められる。
 
●情念演歌のパイオニア(弦哲也)
人知れぬ苦労を重ねて作曲家に転身し、「ふたり酒」でようやくヒットに恵まれる。歌手デビューから15年がたっていた…。美空ひばり、石原裕次郎にも曲を提供し、女の情念ほとばしる「天城越え」は歌謡史に残る名曲に。半世紀を越えて活躍し続けている。