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#100

藤城清治

光と影が生み出す「影絵」に魅せられて半世紀以上。90歳を超えた今もなお、現役で活躍する藤城清治。極彩色の光と、深みのある影のコントラストが織りなすメルヘンの世界は、見る者の心を捉える。藤城のバイタリティ溢れる人生は、「人を楽しませる喜び」が原動力だった。

・天才少年画家、人形劇と出会う
影絵作家・藤城清治の世界と、その原点を探る旅。絵が大好きな少年は、人形劇で観客を楽しませる喜びを知った。戦争の極限状況の中、配属先に人形を持ち込み寸暇を見つけて仲間を慰めた。
(影絵「角笛を吹く少年」「月光の響」他)
・もっとみんなを楽しませたい
戦後の貧しい時代、紙と電球で実演できる「影絵」を知る。映画会社の宣伝部に勤めながら、「暮しの手帖」に影絵を連載、さらに人形劇団「ジュヌ・パントル」を設立。八面六臂の活躍が始まる。
(影絵「空とぶこびと」「雨を降らせた傘屋さん」他)

・「ケロヨン」ブームが生んだ光と影
NHK専属となり、劇団は「木馬座」と改称。やがて観客を楽しませるために作ったぬいぐるみ劇が、人気キャラ「ケロヨン」を生む。だが、全国を沸かせたブームの果てに、木馬座は解散。藤城は多くを失った。
(映画「ケロヨンのぼうけん」他)

・一人の影絵作家として
影絵作家の原点に戻った藤城は、次々と意欲的な作品を発表。クリエイターの目は、社会のあらゆる方向に向けられている。90歳を超えて、今思うこととは…。
(影絵劇「銀河鉄道の夜」、影絵「光の鐘」「コスモスは詩う」「マボロシの鳥」他)

藤城は「光は影の母である」と語る。光を当てることで影が生まれる……そこには「美を表現する原点」が息づいている。人々が藤城の作品に惹かれるのは、影絵の中に生きる喜びや愛、幸せを感じるせいかもしれない。光と影が調和する影絵の世界に、たっぷり浸れる1時間。見終わった後、きっと心が浄化されたような不思議な感覚に気がつくだろう。