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#495

高尾明香里 株式会社Japan Fruits 代表取締役

 

「日本の果物は世界一おいしいのに、このままでは生き残っていけない」 
高尾が起業を決意したのは、そんな思いからだ。果物農家は、平均年齢68歳という高齢化で、人手が少なく後継者不足に悩むという現状があり、何よりも年金がなければ仕事を続けていけないという、生産者がなかなか儲けることができないことにも問題を感じた。
 
高級フルーツ店では2万円で売られている最高級のシャインマスカットだが、生産者に入る売り上げは、その10分の1にも満たない。市場を通じて、様々な業者が介在し、販売価格が決まるわけだが、その価格に見合った利益を生産者が得ることはないのだ。
 
そこで、目を付けたのは、農家の生産量の2割は出るという規格外の商品だ。市場で買い取ってもらえない、見た目が少し悪いような、熟してしまった商品を買い取り、和洋菓子店や飲食店など、味を重視する小売業者と結びつけた。これまで農家が自主処分するしかなかった商品で、現在はネット販売もされていたりするが、高尾はその販売先をマッチングするシステムを確立した。
 
全国を飛び回り、フルーツへの思いを語ってきた高尾に共感し、取引する契約農園は300以上、小売業者は1000社以上に及ぶ。さらに、新規農家参入の支援、海外での生産や販売など、作る人、売る人、食べる人すべてが幸せになる仕組みを作っていきたいと考える。

 

たかお あかり

 
1994年5月23日生まれ
香川大学在学中に、『さぬき讃フルーツ大使』に選出。日本の果物のおいしさを再認識し、果物農家の抱える現状を知った。海外留学、一般企業への就職を経て、2021年に起業。
日本青年会議所が主催するコンテストJCI JAPAN TOYP 2024で、社会に持続的なインパクトを与える可能性を秘めた若者、15人のうちの1人に選ばれた。