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#458

幾嶋研三郎 株式会社Globee 代表取締役社長

 

有名な映画のフレーズが、英語学習の教材に使われることはよくあるが、映画がまるごと全編、教材として収録されているのが、幾嶋が手掛けた英語学習アプリ「abceed(エイビーシード)」だ。現在、映像コンテンツは100以上に及び、全ての会話を日英同時字幕で表示、再生速度を変えることができ、会話をスキップすることも可能だ。ただ映画を観ることが英語学習になるのかという声もあったが、英語はコンテンツをシャワーのように浴びて、楽しく学べなければ続かないという幾嶋の経験が元になっている。
 
さらに英語参考書、約700冊が音声データ込みで収録され、AIを導入して、個人の習熟度を診断させているのが人気の秘密で、すでに会員は300万人を突破している。英語学習は簡単すぎると続かないし、難しすぎても心が折れてしまい、進まない。学習を継続させるための絶妙な提案をAIがしてくれるのだ。例えば、TOEICの目標スコアを入力すれば、個人の学習到達度によって、テストが出題され、結果によって予測スコアが変動する。
 
abceedは教科書とも提携し、学校などでも導入されはじめており、フォーマットとして有効なものと認められたと考える幾嶋は、今後はアジアなどで英語を学ぶ人たちのために、海外展開も目指していきたいという。そのためにも、アニメなどのコンテンツをどんどん増やしていくつもりだ。

 

いくしま あきさぶろう

 
1991年5月31日生まれ
 
大学生の時、受験勉強で頑張ってきた英語が使えないことに気付き、留学生と友達になることを始め、TOEICで955点を獲得。その後、国際交流イベント会社として、Globeeを設立。当時、疑問に思ったのが、個人の学習レベルは違うのに、同じ参考書を使っていることで、個人に合わせた教材を作れないかとアプリの導入を考えた。無名の小さな会社が教育業界に参入するには障壁があったが、ある有名教材の著者が協力してくれたことで、流れが変わったという。