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#446

野依祐月 有限会社ノヨリ 錺(かざり)金具師3代目

 

楔(くさび)文様を一打一打連続して描く『蹴り彫り』、丸い粒を一つ一つ打って並べて
いく『魚々子(ななこ)蒔き』などの300年以上続く技術を応用して、手彫りの受注
生産のアクセサリーを製作している、尾張仏具の錺金具師の3代目。
 
愛知は日本一、寺の数が多い県であり、江戸期には名古屋城の南東部に仏具職人が集まり、尾張仏具と呼ばれる一大産地となった。錺金具師は寺社建築や仏具などの装飾部分を製作する職人。寺社に納入する製品であるため、一般に存在が知られることが少なかった尾張仏具の職人。近年は、人口の減少、宗教離れ、外国製品の台頭などで、売り上げや職人数が激減する中で、尾張仏具のことを知ってもらい、その技術を存続させていこうと始めたのが、アクセサリー製作だった。
 
アクセサリー製作は、父である伝統工芸士の克彦さんがブランド『和悠庵』を立ち上げたものだが、そこに祐月さんが加わり、シルバー素材を使った高級路線や、尾張仏具を知らない世代にも手に取ってもらえるデザインを展開し、人気を博している。

 

のより ゆづき

 
1991年1月31日生まれ
手先が器用で、小学生の頃から裁縫でカバンを作ったり、中学では友達から頼まれて、デコ電を製作していたりと、家業を継ぐなら自分だと思っていた。大学時代はアーティスティック・スイミングに取り組み、指導者を目指していた。アパレル会社に就職していた頃に、アクセサリー製作を始めた父の手伝いを始めるようになり、2年前から尾張仏具の職人の修行とアクセサリー製作を並行して本格的に学んだ。デパートの催事や展示会などでは、常に注目を集める存在となり、今年、ジュエリーブランドとのコラボも経験。