バックナンバー

#283

木下昌之 デイブレイク株式会社 代表取締役

食材を急速に凍らせる特殊冷凍の技術が、今後の地域事業に変化をもたらすかもしれない。
木下は、国内唯一という特殊冷凍機の専門商社を立ち上げ、食材を最適に冷凍できる特殊
冷凍機を販売。「冷凍は美味しくない」というイメージを払拭した。
食べ物は、適切な温度と時間で冷凍すれば、半年後でも旬と同じ鮮度や味を保つことが
できるというのだ。
 
さらに木下は、過疎に悩む地域にも特殊冷凍機を販売。
そこには、フードロス削減や、地方創生を推進する狙いがあるという。
 
これまで傷がついた物や余剰生産物は、廃棄するしかなかったが、
特殊冷凍すれば、不作の時など必要なときに販売できるようになる。
さらに、耕作放棄地に小屋を建て冷凍機の設置場所として活用し、
地域の人々が共同利用する仕組みを作った。
これにより年間を通して利用できるようになるのでコストも抑えられる。
        
このように、特殊冷凍機1台で地域が抱えるいくつもの問題を解消できるのだ。
無駄を価値に替える、サーキュラーエコノミーを実行していき、地方の価値ある資源を
世の中に発信していきたいと木下は考えている。

きのした まさゆき

1978年8月17日、神奈川県横須賀生まれ。
70年続く老舗冷凍機会社の3代目として生まれ、家業を継ぐために施工管理士として父親の会社に勤める。専務として業績を支えつつも、自分にしかできないビジネスを模索。30歳の時、東南アジア旅行で露店に並ぶ大量のフルーツが売れ残り廃棄される実情を知り、フードロスへの問題意識に火が付く。
自分が培ってきた冷凍ノウハウでフードロス問題を解決できないだろうかと、2013年7月に特殊冷凍テクノロジー×ITを軸に、国内唯一の特殊冷凍機の専門商社としてデイブレイクを創業する。
今では、アクセンチュア社主催のイノベーション・エグゼクティブ・ボードにて、サーキュラーエコノミーの有識者として自身が選ばれるほどに業界からの認知も拡大。また、マーケティングの権威と称されるフィリップ・コトラー氏にも「デイブレイクのビジネスはまさしくCSVを体現している」と称賛されている。