記事一覧

パンクの神様、ジョン・ライドンZOOM収録の裏側

アーティスト収録の裏には、実はいろんなドラマがあります。
収録が実現するには、様々な要因が必要で、そこにたどり着くまでの工程が数多く発生します。
また、特に海外アーティストは、タイミングであったり、スケジュールなどに左右されることが大きいので、ある種、「運」みたいなものも必要となるのです。
私はかれこれ20年以上、この番組を担当していますが、渾身のブッキングができた時は、いまだに興奮を覚えるものです。
 

今回は、その渾身のブッキングができた一人であるジョン・ライドンについてお話ししたいと思います。
 

ジョン・ライドンはパンクの神様と呼ばれ、歯に衣着せぬ発言でいまだに世間を騒がせていて、メディアの人間からすると近寄りがたい存在。
イメージ戦略もあるとは思いますが、時代経ても彼はパンクの象徴として君臨しています。
そんな彼にまずユニバーサル・ミュージックさんがPILの新作のプロモーションとして、ジョンの稼働をマネージメントに依頼(熱いラブコールを送ったと思われます)し、快諾に至ったのですが、私が思う実現できた要因としては3つ。
 

・ZOOM収録であること(場所や時間の制約が減ること)
・小林克也がインタビュアーであること(初来日でインタビューした実績)
・新作を是非伝えたいというジョンの想い
 

新作がリリースされる前に長年付き添ってきた奥様が他界され、それなのにジョンが表舞台に出るという決意は並大抵のことではないなあと察し、きっとジョンのパーソナルな想いがあるのだろうと小林さんに伝えたら、なるべくスケジュールを調整するから是非やろうと言ってくれて、結果、スタジオ収録日でない、しかも時差の関係で、早朝帯にイレギュラーのZOOM収録を行うことになりました。
そして1時間、絶え間なく喋り続け、ジョン・ランドン独自の世界が繰り広げられた申し分ない撮れ高200%の収録となったのです。
(許されるのであれば、どこかでコンプリート版をお見せしたいものです)
 

対面ではなくZOOMで、しかもあまりWiFi環境が良くない中、私個人としては、ジョンの寝室の背景に映っている絵画の話になった際に、「この絵を見て毎日自分はインスピレーションをもらっている」と言っていたことが、私からすると、特大スクープをもらったようなもので、パンクの神様ではなく、人間ジョン・ライドンを実感できた瞬間でもあり、それはそれはこの上ない高揚感を得たひと時でした。
 

共通言語である「音楽」を軸に、その周りを様々な人種の人間が絡み、感動する。
このサイクルがずっと続けていくことを願いながら、今日も仕事をしています。

 
 
川岸才門(BS朝日 編成制作局 編成制作ビジネス部)
 
 

番組:ベストヒットUSA
番組サイトはこちら