１１年半に渡ってお送りした百年名家も、今回で最終回を迎えます。そこで番組最初のロケ地である千葉県香取市の「佐原」を再び訪れます。利根川の豊かな水運に恵まれた佐原の町は、古くから商家町として栄えました。現在でも整然と町家が建ち並び、“小江戸”と称された江戸風情を留めています。番組開始１回目の放送を目指してロケが行われたのは、２０１１年３月７日。東日本大震災のわずか４日前の事でした。そのため放送はしばらく見合わせていましたが、地元の方々の熱い要望で１か月後に放送したという、百年名家としては忘れられないエピソードを持っています。今回はその中のメインでお邪魔した加瀬家の「正上醤油店」を再訪。創業は寛政１２年（１８００）、現在の当主は１０代目という老舗です。現在の店舗は天保３年（１８３２）に建てられた築１９０年の建物。伝統的な江戸町家の佇まいですが、震災で屋根瓦が落ち、壁が崩れるなど甚大な被害を受けました。その後幾多の苦労を経て、現在ではかつての姿を取り戻しています。番組の過去映像を交えながら、１１年半に及ぶ加瀬家と百年名家の時の流れを重ねます。
　
案内人：小沢朝江（東海大学工学部教授）