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#300
昭和初期を飾る華族の館
~東京都文京区「和敬塾本館」~
取材先情報
・和敬塾
東京都文京区目白台1-21-2 TEL:03-3941-6622
【開館日時】
・毎年5月から12月にかけてガイド付き見学会を月に1、2回程度
(詳しくはホームページまで:https://www.wakei.org/honkan/)
(原則非公開のため、通常は敷地内にお入りいただくことはできません)
【入館料】
・1000円(消費税別途)
【アクセス】
〔鉄道〕
・JR山手線「目白駅」より都営バス新宿駅西口行(白61)7分
・バス停「目白台三丁目」下車 徒歩1分
今回は東京都文京区の「和敬塾本館」を訪ねます。目白台に建つこの建物は、肥後熊本藩主を務めた細川家の16代当主・細川護立侯爵が、江戸期から続く細川家下屋敷の敷地内に昭和11年に建てた本邸です。現在は、実業家・前川喜作によって昭和30年に設立された男子学生寮・和敬塾の施設として活用されています。華族の建てた本邸らしく、本館は重厚な車寄せを持つ格式ある洋館。裏庭には広大な芝生が広がり、そこから見る外観は、チューダー様式を基調とする華麗な佇まいです。内部に入ると禅宗様の柱に中国風の意匠が混在した不思議なホールが現れます。ホールを中心とした1階の部屋は、客間や食堂などの接客空間。部屋ごとに趣向を変えた設えは、昭和初期の侯爵家に相応しい豪華な設えです。とりわけ客間はテラスへ続くサンルームが付属し、窓のカーテンレールはアーチ状に弧を描くユニークな造形となっています。護立侯爵は芸術への造詣が深く、美術品や文化財の収集や保存に情熱を注いだ人物として知られています。和敬塾本館には、美術に広い見識を持つ侯爵ならではのデザインが満載です。
案内人:内田青蔵(神奈川大学建築学部 学部長)