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#280

比類なき前代未聞の応接室
~東大阪市 樟蔭学園「樟徳館」~

今回は東大阪市の「樟蔭学園・樟徳館」を訪ねます。樟徳館は、材木商の傍ら汽船会社を経営し財を成した実業家・森平蔵が、昭和初期に建てた邸宅です。施主の平蔵は、現在の樟蔭学園を設立した教育者としても知られています。樟徳館の敷地は、かつて帝国キネマと呼ばれる撮影所があった場所です。平蔵はその広大な敷地の中に、全国から選りすぐりの材を集め、製材所まで造って邸宅の建築にあたりました。樟徳館の特長は、和風の外観に対して、内部はユニークな和洋折衷の設えになっている点です。驚くのはその材の素晴らしさ。あらゆるところに惜しげもなく銘木が配されています。とりわけ目を惹くのは応接室。天井には楠の一枚板が張られ、エッチングガラスが施された窓には、花頭窓風の枠が載せられています。間違いなく見たこともない唯一無二のデザインには、この家にかけた材木商の誇りが伝わってきます。
 
案内人:大場 修 (立命館大学教授)

取材先情報

・樟徳館
大阪府東大阪市菱屋西2-4-12 TEL:06-6723-8152(樟蔭学園 学園広報課)
【一般公開】 
・教育施設につき一般公開はしていません。
※4年に1度特別公開を実施しています。詳しくはホームページをご覧ください。
https://www.osaka-shoin.ac.jp/news/2020/4535/