バックナンバー

#253

意匠の限りを尽くした離れの蔵座敷
~福島県三春町「旧吉田家住宅・紫雲閣」~

今回は福島県三春町に残る「旧吉田家住宅」の続編。吉田家住宅は、生糸商の吉田誠次郎によって明治30年代に建てられた邸宅です。前編では主屋の1階部分を紹介しましたが、続編では主屋の2階部分と、離れの蔵座敷「紫雲閣」を拝見します。主屋の中央に建つ2階の部屋は、誠次郎夫妻の寝室だったと言われています。主人は謡曲、妻は和歌と、ともに風流な嗜みを持っていましたが、何故か家の設えは摩訶不思議。矩形の床の間を見ると、一体何種類の銘木・奇木が使われているのか分からなくなるほどです。離れの紫雲閣は、誠次郎の隠居部屋として建てられました。2階建ての蔵座敷で計4室ありますが、どの部屋も見たこともないような独特の意匠が満載です。1階の和室の床には、複雑な三角形をした床脇。2階の茶室には、3本の奇木が床の間を飾り立てています。柱や床框には龍の彫り物を施すなど、とにかく驚きの連続です。最後に拝見した2階の8畳間に現れるのは、龍の彫り物の巨大な2本の床柱。柱や長押、天井に至るまで、全て漆塗りの中国風になっています。ありとあらゆる銘木・奇木や漆を多用した旧吉田家住宅。明治後期の経済交流を知るための、貴重なバロメーターです。

取材先情報

・旧吉田家住宅(三春町文化伝承館)
福島県田村郡三春町字大町82
TEL:0247-62-5263

開館時間
 午前9時から午後4時30分まで
 休館日等
 月曜日・祝日の翌日(月曜日が祝日の場合はその翌日が休館)
 ※冬期休館があります(12月から2月までは平日は休館。土日祝日は開館)
入館料
無料

現在離れの蔵座敷「紫雲閣」は修復工事の為公開を中止しています。
※特別公開の予定がありますので
詳しくは下記ホームページをご覧ください。
貸館として利用可能。
三春町文化伝承館のご案内 – 三春町ホームページ (town.miharu.fukushima.jp)

【交通】東北新幹線 郡山駅から車20分
    JR三春駅から車10分

駐車場
伝承館には専用の駐車場なし。
三春交流館「まほら」駐車場(徒歩5分)
公共施設駐車場(徒歩10分)