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#236

甲子園に残る伝説のリゾートホテル
~武庫川女子大学が継承した「甲子園会館」~

今回は、兵庫県西宮市に建つ「甲子園会館」を訪ねます。甲子園会館は、20世紀を代表する世界的建築家、フランク・ロイド・ライトの愛弟子として知られる遠藤新が、昭和5年に「甲子園ホテル」として設計した壮大な建物です。しかし戦争が泥沼化した昭和19年、甲子園ホテルは海軍病院として接収されることとなり、残念ながらホテルとしては短命に終わりました。戦後はGHQのクラブハウス時代を経て大蔵省の管轄下に置かれていましたが、昭和40年に武庫川女子大学が取得。現在は建築学部の校舎として活用されています。外観はいかにもライト建築を継承する遠藤新の作品らしく、両翼を広げた水平ラインを強調する左右対称のフォルムとなっています。外壁や柱に施された幾何学模様の装飾もまさしくライト風ですが、両翼には日本瓦を用いた和風の屋根が載せられ、地元西宮ゆかりの伝説「打出の小槌」がホテル全体のモチーフとして使われるなど、新独自のデザインも見て取れます。とりわけ目を惹くのは、水滴を模した水玉状の意匠。建物の内外を問わずくり返し使われています。そんな名建築の中で設計を学ぶ女子学生たち。甲子園会館はまさに理想の学び舎として今も輝き続けています。

取材先情報

武庫川女子大学甲子園会館
兵庫県西宮市戸崎町1-13  TEL:0798-67-0079
見学は手続きが必要となります。
見学ご希望の方は、甲子園会館ホームページで見学日を確認し、
必ず事前に電話予約をお願いいたします。
お問い合わせ:武庫川女子大学 甲子園会館庶務課 
TEL:0798-67-0290 <見学受付専用ダイヤル>
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、
現在は見学会を中止しています。
受付時間:月火水木金 午前10時~午後4時
交通:JR甲子園口駅から徒歩で10分
   阪神甲子園駅からバスで15分(戸崎町下車徒歩3分)
駐車場:なし