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#208

名建築家の造った巨大旅館
~村野藤吾 晩年の作品「三養荘・新館」~

今回は静岡県伊豆長岡の巨大旅館「三養荘」の第2弾として新館を訪ねます。京都の職人達が手掛けた京風数寄屋の本館に対し、新館はそれを継承しつつも近代的な感覚を加味したモダンデザインが特徴となっています。設計したのは、数々の名建築を生み出した日本建築界の巨匠・村野藤吾。新高輪プリンスホテルなどのモダニズム建築を得意とする村野が、晩年に手掛けた作品ですが、残念ながら昭和63年から平成5年にかけて建築したこの建物を見ることなく他界しています。村野の造る和風建築は、伝統的な数寄屋建築とモダンデザインを巧みに融合させているのが特徴です。越屋根付きの玄関棟を入ると現れる、大空間のモダンなロビー。しかしよく見ると、格天井や猪目のデザインなど、日本の伝統的な意匠がふんだんに盛り込まれています。その先に枝葉状に伸びる渡り廊下を行くと、離れのように点在する客室へとつながります。それら客室棟は、庭園の形状と一体化させ、本館との連続性を生み出しています。伝統的数寄屋建築とモダニズムの計算され尽くした調和と融合。三養荘・新館は、和風建築にも独自の世界観を築き上げた村野藤吾が、卒寿にして辿り着いた渾身の名建築です。

取材先情報

・伊豆長岡温泉 三養荘・新館
静岡県伊豆の国市 ままの上270
TEL:055-947-1111
※午前9時~約30分間、庭園散策ツアーを実施(雨天時中止)
 季節によりご案内時間を変更する場合がございます。
【交通機関】
電車:伊豆箱根鉄道 伊豆長岡駅からタクシーで約5分
東海道新幹線 三島駅からタクシーで約30分
※伊豆長岡駅よりご宿泊者専用
無料送迎車が運行しております。 (要予約)
車:東名高速沼津I.C/新東名高速長泉・沼津I.C.より伊豆縦貫自動車道・ 伊豆中央道(伊豆長岡北I.C)で24km
 
※上記以外の情報については、公開出来ません。