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#199

近代を背負った男の邸宅
~愛媛・新居浜「旧広瀬邸」~

今回は愛媛県新居浜市に建つ「広瀬歴史記念館」を訪ねます。建て主は現在の住友グループの基礎を築いた住友初代総理人の広瀬宰平。別子銅山の近代化に尽力し、関西財界に大きな足跡を残した人物です。そんな彼が建てたのが、国指定重要文化財「旧広瀬邸」。敷地内の庭園は国の名勝に指定されています。もともと主屋は明治10年に近隣の村に建てられていましたが、明治20年に現在地へ移築し増改築を施して、主屋、新座敷、蔵、茶室などからなる今の姿となりました。まず驚くのは主屋の外観。極めて高さのある2階建てで、広い開口部には全面ガラス戸が嵌められています。明治10年の建物だけに、まさに近代和風建築の先駆け的存在とされています。主屋の隣に増築されたのが明治22年に造られた新座敷。手掛けたのは数寄屋大工の名工・2代目八木甚兵衛です。八木家は父親の代から住友家のお抱え棟梁でしたが、施主広瀬宰平が若き2代目に白羽の矢を立て、新座敷の建築を任せました。庭の景観も計算し尽くした京都風数寄屋造りの洗練された意匠は、まさに伝統的日本美を実現しています。時代の先取りと伝統美の融合する広瀬邸は、近代化を背負った男に相応しい大豪邸です。

取材先情報

・旧広瀬邸(新居浜市広瀬歴史記念館)
新居浜市上原二丁目10番42号
TEL:0897-40-6333
開館時間:9時30分から17時30分(受付時間は17時00分まで)
休館日:月曜日、国民の祝日の翌日(日曜日を除く)/12月29日から1月3日まで
観覧料:個人520円(中学生以下無料)/団体420円 ※観覧券は広瀬歴史記念館展示館・旧広瀬邸どちらでも購入できます(チケットは共通です。)
交通:
【JRご利用の場合】JR新居浜駅下車 タクシーで約20分
【乗用車ご利用の場合】・松山自動車道 新居浜ICから約15分いよ西条ICから約20分
駐車場:有(バス5台、普通車54台)
カーナビでの目的地設定について:カーナビで「広瀬歴史記念館」を目的地に設定された際に、当館の南側へ案内される場合があります。駐車場は、当館の北側にありますので、ご注意ください。

※上記以外の情報については、公開出来ません。