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#184

書斎が際立つ学者の家
~旧成瀬仁蔵住宅と旧鈴木家住宅~

今回は都心に残された学者の家を2軒訪ねます。1軒目は、日本女子大学の創立者・成瀬仁蔵が終の棲家とした「旧成瀬仁蔵住宅」。大学創立時に敷地内に建てた教員用住宅を自らの居宅とし、学生たちを見守り続けました。日本における女子高等教育の開拓者としても知られる仁蔵は信望も厚く、大隈重信をはじめとした多くの著名人がこの家を訪ねています。簡素な2階建ての近代和風建築ですが、所々に洋風のアレンジが施され、特に2階部分はまさに書斎としての空間。生前そのままに置かれた机や椅子には、教育者として全うした彼の矜持がにじみ出ていました。2軒目は、日本における仏文学の草分け的研究者・鈴木信太郎が、昭和初期から終戦直後までにかけて造った「旧鈴木家住宅」。敷地内には、実家から移築した明治20年の座敷棟も加わり、明治、戦前、戦後と3つの異なる建物が並びます。中でも驚くのが、昭和3年に鉄筋コンクリートで造られた書斎棟。1階部分の広いフロアーを占める書斎兼書庫は、壁のすべてが重厚な木製の書棚で埋められ、まるでシックな図書館のようです。女子教育とフランス文学。本を心から愛する2人の知性が造り上げたのは、書斎が際立つ家でした。

取材先情報

・旧成瀬仁蔵住宅(成瀬記念館分館)
東京都文京区目白台2-8-1(日本女子大学 目白キャンパス) 
TEL:03-5981-3376(成瀬記念館)
公開日:今年度(2018年2月まで)は毎月第1、3火曜日(1月のみ第3、5火曜日)
    ※3月の公開はありません
    ※2019年4月以降の見学については、
3月以降に日本女子大学のホームページでご確認ください。
受付時間:午後1時から午後3時30分(午後4時閉館)
お申込み方法:成瀬記念館にお電話ください。
※申込み受付時間は平日午前10時から午後4時30分です。
     見学の希望日時、人数、代表者のお名前、連絡先をお知らせください。
交通:【JR山手線】・目白駅より徒歩15分
・都営バス(学05)日本女子大学前行(直行)
・都営バス(白61)新宿駅西口行き
またはホテル椿山荘東京行き「日本女子大前」下車
【東京メトロ副都心線】・「雑司が谷」駅(3番出口)より徒歩8分
【東京メトロ有楽町線】・「護国寺」駅(4番出口)より徒歩10分
 見学にあたっての注意事項:
    ・入館の際は、靴下の着用をお願いいたします。
    ・館内は段差や急な階段があります。バリアフリー対応には
なっておりませんので、足元に十分お気をつけください。
    ・家具にはお手を触れないでください。
    ・館内の写真撮影は可能です。
    ・開館日は成瀬記念館ホームページでご確認ください。

・旧鈴木家住宅(豊島区立鈴木信太郎記念館)
東京都豊島区東池袋5-52-3 TEL:03-5950-1737
開館時間:午前9時から午後4時30分
休館日:毎週月曜日(祝日と重なる場合はその翌日も)、
第3日曜日、祝日、年末年始、展示替え等にともなう臨時休館
入館料:無料
解説、団体見学:団体見学をご希望の方は、事前にお申し込みを
お願いいたします。当日のお申し込みの場合、
ご希望にそえない場合がございます。
交通・東京メトロ丸ノ内線新大塚駅より徒歩約3分
  ・JR山手線大塚駅南口より徒歩約8分
  ・都電荒川線大塚駅前及び向原停留場より徒歩約8分
   ※駐車場・駐輪場はありません。公共の交通機関をご利用ください。

※上記以外の情報については、公開出来ません。