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#177

建材の発明家が建てた実験的大邸宅
~筑波山麓「旧矢中邸」本館~

今回は茨城県つくば市北条の「旧矢中邸・本館」を訪ねます。矢中邸は建材研究家で実業家の矢中龍次郎が、昭和28年に建てた自邸兼迎賓館です。龍次郎の死後長い間空き家状態でしたが、新たな所有者が保存活用の意向を示し、それに応えたNPOなど有志の尽力により、国の有形文化財に登録されるまでになりました。矢中邸の特色は、龍次郎の建材研究や発明品を適用した家造りにあります。石や鉄筋コンクリート、自身の発明した建材を使用するなど、龍次郎の考える“理想的な木造建築”を目指した家なのです。今回拝見する本館で最初に目を惹くのは、その鮮やかな壁の色。これは龍次郎の発見した天然顔料「山富貴酸化黄」で、今も色褪せることがありません。外壁材にはやはり彼の開発した軽量コンクリート製「矢中防火板」を用い、まさに発明品のモデルハウス的状況を呈しています。一方本館の内部は書院造りを基調とした端正な設えで、数寄屋的な遊びがほとんど見られません。銘木を惜しげもなく用いた格式高い造りですが、従業員エリアや書斎などには近代的な利便性にも十分な配慮が感じられました。自らの発明した建築材を用いた旧矢中邸は、建築史に残る実験的名建築です。

取材先情報

旧矢中邸(矢中の杜)
茨城県つくば市北条94-1
Email:yanaka.no.mori@gmail.com (NPO法人“矢中の杜”の守り人事務局)
TEL:090-6303-4531(10:00-17:00)
公開日:毎週土曜日
※他のイベント等のため実施しない日もありますので、
矢中の杜ホームページやメール等でご確認ください。
公開時間:午前11時~午後4時(最終受付午後3時30分)、
※ガイドツアーは午前11時~、午後1時~、午後3時~ 計3回
(各回所要1時間程度)
それ以外の時間帯は自由見学
 料金:お一人様500円(邸宅維持修繕協力金として・中学生以下無料)
定員:ガイドツアーは各回10名程度
※ガイドツアーには、邸宅の保護のため定員を設けておりますので、
事前のご予約をおすすめいたします。
※土曜日以外の貸切見学にも対応いたしますので、矢中の杜事務局まで
ご相談ください。貸切見学の場合は邸宅維持修繕協力金をお一人様
750円お願いしておりますので、ご協力をお願いいたします。
交通:【電車・バス】
・つくばエクスプレス・つくば駅から「つくバス北部シャトル」
筑波山口ゆき約30分、「筑波交流センター」下車徒歩15分
・つくばエクスプレス・つくば駅から「つくバス小田シャトル」
筑波交流センターゆき約45分、「北条仲町」下車徒歩1分
・常磐線・土浦駅から関東鉄道バス筑波山口ゆきまたは下妻駅ゆき約40分、
「北条仲町」下車徒歩1分
【自動車】常磐道土浦北ICから国道125号線経由で約12km
※駐車場はございませんので、北条商店街の共用駐車場または
旧矢中邸裏手の市営駐車場をご利用ください。

筑波山神社
茨城県つくば市筑波1番地 TEL:029-866-0502
交通:【電車】つくばエクスプレスで秋葉原よりつくば駅まで45分、
筑波山シャトルバス40分
【車】常磐自動車道土浦北ICより、国道125号線経由約40分
駐車場:筑波山神社有料駐車場(1回500円 1時間無料) 
※ご祈祷者は無料と致しますので、受付の際に駐車券をお持ちください。
その他、市営有料駐車場、民間有料駐車場もございます。

※上記以外の情報については、公開出来ません。