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#175

宮家が暮らした高原の田舎家
~富士を望む「旧秩父宮御殿場御別邸」~

今回は、静岡県御殿場市の「旧秩父宮御殿場御別邸」を訪ねます。もともとは享保8年(1723)に建てられた名主の家でしたが、大蔵大臣や日本銀行総裁など歴任した井上準之助が別荘用として譲り受け、昭和2年に現在地に移築しました。井上は移築に際し、英国のカントリーハウスを意識した別荘に仕立てるため、土間に床を張って洋間に改修しています。手斧跡のついた既存の部材を巧みに利用し、ハーフティンバー風に壁を設え、暖炉も新たに設置しました。このように伝統的な古い民家を別邸として使う動きは、明治後期から昭和初期にかけて政財界人や文人などの間で流行を見たもので、「田舎家」と呼ばれています。その後昭和16年、宮内省が土地建物を買い上げ、病気療養のための秩父宮の別邸として使用しました。秩父宮家は病気療養のために、縁側のサンルームを改築するなどしていますが、基本的には井上時代のまま使用しました。平成7年に勢津子妃殿下が薨去された後は、その遺言により土地建物が御殿場市に寄贈され、現在は秩父宮記念公園内の建物として一般に公開されています。旧秩父宮御殿場御別邸は、日本建築史の1ページを築いた田舎家時代を代表する建物です。

取材先情報

・旧秩父宮御殿場御別邸(秩父宮記念公園)
静岡県御殿場市 東田中1507-7 TEL:0550-82-5110
開園時間:午前9時~午後4時30分(5月9日~3月)
午前9時~午後5時(4月)
午前9時~午後5時30分(6月~8月)
※ご入園は閉園時間の30分前まで
※イベント開催時などに開園時間が延長されることがございます。
休園日:毎月第3月曜日(祝日を除く)、12月29日~1月1日
※4月、11月は無休開園(臨時休園有)
   ※月曜日に祝日開園した場合はその翌日
 入園料:大人300円、小・中学生150円、御殿場市民は入園無料
※障がい者手帳をご持参の方およびその付添の方1名は無料
交通:【公共交通】JR御殿場駅→乙女口より御殿場温泉会館行き
無料シャトルバスで10分、バス停:秩父宮記念公園下車、徒歩すぐ。
または箱根登山バス仙石案内所・小湧園行きで5分、バス停:二の岡下車、
徒歩1分
【自動車】東名高速御殿場ICから県道401号経由0.75km5分
駐車場:あり( 80台・1回200円 )

・御殿場市 東山旧岸邸
静岡県御殿場市東山1082-1 TEL:0550-83-0747
開館時間:午前10時~午後6時(4月~9月)
午前10時~午後5時(10月~3月)
※入館は閉園時間の30分前まで
休館日:毎週火曜日(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
入館料:大人300円、小・中学生150円
    ※障がい者手帳をご持参の方およびその付添の方1名は無料
交通:【電車でお越しの方】JR御殿場線御殿場駅下車タクシー15分
【お車でお越しの方】東名高速道路御殿場IC第二出口前石橋交差点を右折
湖水前交差点を左折、300メートル進むと右側に「東山旧岸邸 とらや工房
駐車場」

※上記以外の情報については、公開出来ません。