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#172

新選組ゆかりの「本田家住宅」
~江戸中期と幕末の歴史を残す名主の家~

今回は東京・国立市に建つ「本田家住宅」を訪ねます。本田家は、かつて「谷保村」と呼ばれていた集落で、江戸時代前期より名主を務めていました。現在まで16代に及ぶ歴代の当主からは多くの書家を輩出し、また漢方医としての家業を継承した歴史も持っています。甲州街道沿いに建つ主屋は、柱に取り付けてあった祈祷札に書かれた年号から、江戸中期の建物であることが判明しました。東京都の民家としては最古クラスのものとされ、平成23年に国の有形文化財に登録されています。本田家住宅の付加価値をさらに高めているのが幕末時の歴史。新選組の近藤勇と土方歳三が、この家を度々訪れているのです。特に本田家の親戚筋にあたる歳三とは、本田家11代当主であり著名な書家でもあった本田覚庵が、この家で書を教えていたという深いゆかりを持っていました。そんな本田家の主屋には、「食い違い6間型」と呼ばれる古い間取りを始めとして、江戸中期の痕跡が至る所に見受けられます。しかし10年ほど前まで本田家の住まいとしてそのまま使われていたことから、かなりの老朽化が進んでいます。江戸中期と幕末の歴史を持つ本田家住宅。修復工事が望まれる生きた歴史資料です。

取材先情報

本田家住宅
東京都国立市谷保5122-4
TEL:042-576-2111(内線:323) 国立市教育委員会 生涯学習課
社会教育・文化財担当
 ※特別公開を除き、原則非公開となっております。

谷保天満宮
東京都国立市谷保5209  TEL:042-576-5123
 交通:【鉄道】南武線谷保駅 徒歩3分
        中央線国立駅 バス10分
【車】 中央高速道「国立府中インター」3分

※上記以外の情報については、公開出来ません。