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#163
山林王が造った「銅(あかがね)御殿」
~銘木と贅を尽くした名建築~
取材先情報
銅御殿(旧磯野家住宅)
東京都文京区小石川5-19-4
問い合わせ先 TEL:03-3910-8440 (公益財団法人 大谷美術館)
※通常は非公開となっております。
見学会:毎年春と秋(日程についてはお問い合わせください)
※2018年春は3月9日(金)・3月10日(土)・3月23日(金)・
4月13日(金)・4月14日(土)・5月11日(金)・5月12日(土)
各日①午前11時00分~ ②午後1:00~ になります。
※係の説明をお聞きいただきながらグループで回る約45分の見学会です。
庭園からの見学となり、建物内には入れませんのでご了承ください。
※見学は、往復はがきによる事前の申込み制。往復はがきに見学希望日時、
氏名、住所、電話番号をお書きの上、
「(公財)大谷美術館 〒114-0024北区西ヶ原1-27-39銅御殿係」まで
お申し込みください(申し込み多数となった場合には抽選となります)。
※ご都合によりキャンセルされる場合には、早めのご連絡をお願いいたします。
見学料は、800円(消費税込み)。見学当日、受付けの際にお支払いください。
※上記以外の情報については、公開出来ません。
今回は、東京文京区の国重要文化財「銅(あかがね)御殿」を訪ねます。銅御殿は山林王として財を成した磯野敬の自邸として、大正元年に建てられました。磯野が大工棟梁に指名した人物は、何と若干26歳の北見米造。以前関わっていた茶室建築での働きぶりが磯野の目に留まり、白羽の矢を立てたのです。磯野が若き棟梁に与えた条件は、「地震に強いこと」と「仏像が置けること」のたった2点だけ。あとは施工期間も予算も制限なしという破格の条件でした。北見はそれに応えて、持てる技術と感性を最大限に注ぎ込みます。彼は耐震性を高めるために壁を増やし、火災対策として家を銅張りにしました。銅御殿の名前の由来です。また仏像が似合うようにと神社仏閣と中国風の意匠を融合させた造形を生み出します。とりわけ北見の独創性が生かされているのが正門。極太の自然木の柱に、唐破風を模した曲線を描く屋根。しかも屋根は垂木を詰打ちしただけで支えるというモダンな造形を実現しています。加えて山林王だった磯野の集めた材は、現在では手に入らない「御蔵島の桑」など、目を疑うほどの銘木尽くし。銅御殿は、磯野の財力と北見の技術が注ぎ込まれた、唯一無二の名建築です。