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#160
様式を自在に遊ぶ不思議な館
~霞ヶ浦の“干拓王”が造った「大日苑」~
取材先情報
旧植竹庄兵衛家住宅(大日苑)
茨城県稲敷市江戸崎甲2354番地
TEL:029-893-1011(NPO法人 稲敷伝統文化保存会)
※普段は閉まっていますので、内部の見学をご希望される際は
NPO法人 稲敷伝統文化保存会までご連絡ください。
開館時間:午前10時00分 ~ 午後3時00分(夏期間のみ土曜日、日曜日、祝日)
※気候または撮影等の全館貸し切り等による変更もありますので、
予め電話等をしてご確認ください。
料金:民間で運営をしているため、ご寄付のご協力をお願いいたします。
交通:常磐自動車道「つくばJCT」から圏央道「稲敷IC」から約4Km
駐車場:あり(25台)
※上記以外の情報については、公開出来ません。
今回は、茨城県稲敷市の「大日苑」を訪ねます。大日苑は、霞ヶ浦の干拓を手掛けた実業家、植竹庄兵衛が昭和14年に建てた自邸です。自らの干拓事業を一望することのできる小高い丘に建てられました。木立に囲まれた坂道を上ると、目の前に現れたのは巨大な門柱。この番組でも初めて目にするほどで、大日苑のスケールの大きさを予感させます。敷地内に入ると広い前庭の奥に、和館と洋館の2棟が並び建つ主屋が見えてきます。目を惹くのはそのユニークな外観。和館はまるで寝殿造り風の趣で、縁側には刎ね高欄が廻り、壁には金色に塗られた帯状の意匠が施されています。一方洋館は、様々な様式が混在した自由なデザイン。それぞれの内部に入ると驚きはさらに増します。書院造りを基調とした和館の客間には、格式高い「折り上げ吹き寄せ格天井」が設えられていますが、欄間に施されているのは何とステンドグラス。洋館内部はほとんど和室で、数寄屋造りあり銘木づくしの書院ありと、まさに意匠パラダイス。一見摩訶不思議な建物ですが、意匠に対する知識や技術の高さには驚くばかりです。大日苑は昭和初期にたどり着いた近代建築の一つの到達点として、大変興味深い建物でした。