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#148
河岸にそびえる3階建ての高楼 ~回漕問屋の繁栄ぶりを伝える「福田屋」~
取材先情報
回漕問屋福田屋(ふじみ野市立福岡河岸記念館)
埼玉県ふじみ野市福岡3-4-2
TEL:049-261-6065(ふじみ野市上福岡歴史民俗資料館)
開館時間:午前10時から午後4時(5月から9月は午後4時30分まで開館)
休館日:月曜日(祝日にあたるときも休館)・12月27日から1月4日
入館料:大人=100円(20人以上の団体は1人80円)
小・中・高校生=50円
※改修工事のため、2018年3月まで離れの特別公開は予定していません。
交通:東武東上線上福岡駅から徒歩20分または上福岡駅から
西武バス南古谷駅行き「城北埼玉中学・高等学校」下車徒歩3分
駐車場:国登録有形文化財「吉野屋土蔵」に隣接する土地。普通車5台分。
※上記以外の情報については、公開出来ません。
今回は埼玉県ふじみ野市に建つ「福田屋」を訪ねます。福田屋は、天保2年から明治の終わりまで川越と江戸を結ぶ新河岸川の舟運で繁栄した、幕府公認の回漕問屋。現在は明治初期から30年代にかけて建てられた主屋、文庫蔵、離れ、台所が遺され、市指定文化財となっています。現在遺る文庫蔵と離れを建てたのは福田屋十代目の星野仙蔵。福田屋を営む傍ら政治家としても活動した仙蔵は、東武東上線の前身である東上鉄道を建設するなど、ふじみ野市の発展にも貢献した人物です。また、剣術の一派「神道無念流」の達人としても知られ、敷地内に剣道場を設けるほどの腕前でした。そんな仙蔵が遺した建物で最も目を惹くのが、明治33年に接客の場として増設された3階建ての「離れ」。川の向こう岸からでも確認できるその圧倒的な存在感は、城の天守を思わせます。中でも注目は3階部分。筑波山や富士山などを望む絶景にも驚かされますが、色ガラスの入った窓や、障子の腰板に施された「近江八景」の精緻な浮彫など、室内に溢れる優れた技巧や凝った意匠の数々にも舌を巻きます。福田屋は、かつての舟運による繁栄ぶりと、明治期の船問屋の様子を伝える大変貴重な遺構です。