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#133
近代茶人の理念が生んだ家 ~“電力王”松永安左ヱ門の「老欅荘」~
取材先情報
老欅荘
神奈川県小田原市板橋941番地1(小田原市郷土文化館分館 松永記念館内)
TEL:0465-22-3635(松永記念館)
観覧時間:午前9時から午後5時まで(午後4時30分入館締切)
休館日:年末年始(12月28日から1月3日まで)
館内整理等のため臨時休館することがあります
入場料:無料(特別な展示は有料の場合があります)
アクセス:箱根登山線「箱根板橋駅」下車、徒歩10分
小田原駅より箱根行き バス「上板橋」下車、徒歩6分
同バス「板橋」下車、徒歩10分
施設のご使用:松永記念館内の茶室等は、茶会をはじめ短歌・俳句の会等にご使用いただけます。(午前9時から午後4時まで)
小田原市郷土文化館(0465-23-1377)または松永記念館にて、ご使用日の6ヶ月前から受付けております。
※上記以外の情報については、公開出来ません。
今回は小田原市に建つ「老欅荘」を訪ねます。風光明媚な土地柄で知られる小田原市は、明治中期以降、保養地として注目されるようになります。そのため政財界人や文化人などの別邸が数多く建てられました。そんな小田原市に遺る名建築を2回にわたりご紹介。第2弾の今回は実業家、松永安左ヱ門が建てた「老欅荘」を拝見します。松永安左ヱ門は日本の電力体制の礎を築いた“電力王”として知られ、近代日本の産業史にとって欠かすことのできない人物です。松永は茶道にも精通し、「耳庵」と称して近代三茶人の1人に数えられています。そんな耳庵が昭和21年、72歳の時に建てたのが「老欅荘」です。老欅荘には、合理性や機能性を追求した耳庵独自の美意識が散りばめられています。既成概念に捕らわれない自由な数寄屋建築は、一見破天荒にも思えるほどです。中でも最も目を惹くのが鎖の間に設えられた掛込み天井。詰打ちされた煤竹からは緩く塗られた白漆喰が垂れ、耳庵が持つ独特の美を醸し出しています。建築にあたって自らスケッチを描いたという耳庵。そこには彼の並々ならぬこだわりを見て取ることができます。自身が到達した茶の湯の理念を取り込んだ渾身の作品です。